2024-01-01から1年間の記事一覧

悪魔

話は六月の初旬に遡ります。 不動産からの電話に出ると、こんどの更新に際し、 「建物老朽化につき、取り壊し前提で、契約する旨」 促されました。 二年ごとの更新を繰り返し、転居十年目にして言い渡されたことながら、鎌倉住みの一周り(12年間)に馳せた想…

回収

ビルの竣工は、昭和33年と聞きます。 日本が、高度経済成長期に突入し、いわゆるビル・ブームが起こった頃の建築物で、 「当時の建築基準法に準拠し、高さは制限いっぱいの31m。 50×200mの細長い敷地に、容積率1,000%で建設された巨大ビル」 であると、AIは…

春秋

期末月の翌月、つまり、四月・十月は、農閑期で、いまや、二季しかないその短い春秋を、全力で楽しもうと、四月は、種蒔、十月は、収穫と、それぞれ「菫太郎論集」の製作に勤しみました。 四月に播いた種は、『作者は誰?』に結実し、十月に獲った実は、来る…

佳人

入営を正月に控えたたかねは、はじめての作品集を上梓すると、 「思い残さず戦場で死ねる」 と早稲田時代の師に告げた。(「友愛の家」より) こんどの拙「作品集成 III」のためのコピーを、これも、こんどのエッセイを書いてもらう(巻末に付す)べく、詩人、田…

間合

ことしは、23日が秋分で、暑さ寒さも彼岸まで、のそれ通りに、翌日は、一気に気温が下がりました。 当初、24日の入稿を予定していたので、デレツンとばかりに、行く夏来る秋に、気が気ではなく、結果、一週間引き延ばしたとなった、その週のうちにも、来る秋…

引寄

私 文フリ刊記の『作者は誰?』を出してからひと月で、こんどは、楯四郎にクローズアップした、『第三の楯四郎』を出そうと思ったきっかけは、何だったの? 菫 併載した「真筆、楯四郎」は、楯と目星をつけた人物が、端から同一人物ではない、つまり、「敗北…

月頭

九月朔日。 はからずも朝涼。 二か月間つけっぱなしにしていた冷房を切り、南と北の窓を網戸にして全開。 その間にもこもっていただろう気を一掃。 このタイミングを待ち望んでいました。 ベランダに置いたグリーン・テーブルに並べた、花のつかない植物たち…

術策

普段、顔を合わせているひとから、 「占いをやっているんです」 とカムアウトされたら、 「へえ、鑑(み)てもらいたい」 と返すのが、自然な流れであり、そうやって繰り返されてきた、十年周期でのそれを思うと、来るべくして来たタイミングだとも思いました…

何処

月中と月末の日曜日は、その午前中を「社」に縛られることになり、そうした、「縛」りがあると、不要不急の何かが無性にしたくなるのは、昔も今も変わりません。 お盆も終わり、八月も半分を過ぎたところで、なお、続く暑さには、でも、終わりがないかのよう…

猥本

蕎麦数彦さんの新作、『包羞忍恥』を読みました。 花丸勇作という、ガチムチ、ゴウモウ、ホウケイの青年が主人公で、絵画教室のモデルを頼まれたことから、性癖を自覚・回想し、少年期に出会った、ふたりの同性、ひとりは空手塾の師範、ひとりは空手部の先輩…

逗留

菫太郎センセイからの、最後のFAX送信を待つ間にあった、LINEの着信。 スマホの表示を一瞥すると、いよいよ送られてきた、センセイからの原稿に、意識を向け、結局、LINEの返信は、後回しになりました。 「深刻な内容じゃなくてよかった」 と翌日、対面した…

老朽

先の記事、「老齢」に引き続き、「老朽」です。 数えで15歳になる愚猫(愛猫)が、獣医の診断により、晴れて「お年寄り認定」を受けたことは、先の記事の通りですが、これも、とき同じくしてあった、不動産からの電話に出ると、こんどの更新に際し、 「建物老…

老齢

「猫は、自分のしもべと認識することと思います。猫という生き物は結構図々しくって、それがとてもいい感じです。」(2010年8月10日、日記、コメントより) 先月、中止となった関西行。 関西を同行する予定だった友達から、LINEがあり、タイミング良くオフ日だ…

萬書

「本物なら、こんな値段じゃ買えないでしょ」 「そうですよね」 と、某古書店の出店棚の前で交わされている、老年と中年の会話を小耳に挟みつつ、「本物」との老年の認識に、はて? と思いました。 おそらくは、共箱帯付の完本を「本物」といい、それに対す…

冊子

TRC(東京流通センター)で最後となる、「文学フリマ」。 そして、はじめての有料制につき、その日を刊記(記念)とした、『作者は誰? 菫太郎論集』も、新刊との売込み&少部数とあって、残り半分となりました。 これには、 「「小ロット」、単価割高かもだけど…

釣銭

TRC(東京流通センター)での最後の文学フリマで、拙ブースが有終の美を飾れたかは、わかりませんが、ここでのすべての催しをして、何かしら忘れている、つまり、心のこりがある、というのは確かです。 子どもの頃、台所にいる母から、 「〇〇さんちに行って、…

既視

「こういうくねった道路って、そこが川だった可能性があるみたいですよ」 と散歩の途上、同僚に語られ、 「へえ、誰説?」 と私。 「タモリ」 と同僚。 ゴールデン・ウィーク最終日は、例年、この大型連休のどこかで、遠出、あるいは、近場を歩いている同僚…

漫喫

「まん喫オカマルトの「マンガが苦手なアタシの人生に影響を与えたマンガたち」コーナー」に、「JUNE」や「ALLAN」も並んでいると聞いた。(エックスのポストで知た) 「マンガが苦手なアタシ」とは、「オカマルト」の店主、マーガレットさんのことであり、そ…

逆行

2日から24日まで、水星が逆行していて、だから、2日に出逢ったソレとの二十日間は、ゾーンにはいっていたというわけです。 年に三回あると聞く、この「水星逆行」、つまり、「蝕の季節」は、アウトプットよりインプットをこころがけています。 などと、オフ…

爽風

とにかく、自分という上官の命令が厳しくて、年度末までの繁忙期は、エスケープしたい気分でした。 もうすぐ、農閑期! 否、新年度! との鼓舞は、桜の開花を待つワクワクとした気分へとかわり、しかしながら、いまいち冴えない天候に、その「気分」もアップ…

調理

切らした調味料を買いに近所のストアまで。 大型ストアの簡易店舗といったそこでも、一つの調味料に、三つくらいのブランドのそれが揃っていて、一番安く、かつ、簡易装のものを選びました。 「たしか、IKEAで買った、ソルト・ペッパホルダがあったはず」 と…

懇親

秋分の日を境に夜が長くなっていき、春分の日を境に夜が短くなっていく、それぞれの最たる日が、冬至と夏至で、私にとっての繁忙期は、夏至から秋分、冬至から春分であり、農閑期は、夏至と冬至にいたる、秋分・春分の起点からの、それぞれ二か月。 簡単にい…

年輪

「海の中の探偵に問う、少年の屍(し)が桜貝に変じた謎を」 *森島章人歌集、『月光の揚力』収中、この一首より創を得たことを附記します。 とは、拙「作品集成 I」所収、「櫻色手帖」の最後の一行と、それの注釈です。 この歌を詠んだ、歌人、森島章人さんに…

女子

「女の子だったら、パンツ↗なんて、ぜったいはかないわ」 と他意なく言ったことがあります。 いやいや、「他意」ありありでしょ。(と自答) 「女の子」、「パンツ」、「ぜったい」、「はかない」、などと挙げてみたところで、私の言った「他意」は、偏見に満…

衣服

冬期のワードローブといえば、フリースであり、「フリース」といえば、ユニクロです。 そんなわけで、いま着ている「フリース」のタグ(ケアラベル)を見ると、 000-XXXXXX(84-00) と、なっていて、つまり、 8…製造年(2018年製) 4…季節 1春2夏3秋4冬 というこ…

認知

「おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。」(『善悪の彼岸』) とは、ニーチェの名言であり、現代にも通じる哲学をはらんだそれであることは、例えば、 「深淵」 を、 「スマホ」 に変換してみても、容易に察しがつくでしょう。…

自炊

都心に引っ越して以来、ホコリをかぶっていた、季節家電および調理家電の掃除&手入をし、15年までの経年にもかかわらず、ふたたびはいったスイッチに覚えた感動! は、こと、自炊に対するモチベーションを上げてくれ、年明けから一か月半の間、週末の三食と…

建国

昨年の秋、沿線に住む友人の、新居を訪ねた折り、居心地の良いリビングルームの、ソファに対座しながら、見せてもらった書物の一つに、 須永朝彦の「滅紫篇」 があり、さらに、気にいったページがあると、つまびらかに示されたのが、 「縹、二藍、藍、紺、菫…

藍宇

「インターネットで発表されたゲイ小説 『北京故事』 (邦題:『北京故事 藍宇』 講談社刊)を映像化した作品。」 とウィキにあります。 小説は、未読ながら、その「藍宇(ランユー)」が、これも、中国での制作となる「覇王別姫」(1992年)、「春光乍洩」(1997…

旅寝

「お酒、ワンカップでいい?」 と車上の父に。 「ふなぐちってのがあったでしょ」 との指定がはいり、 「へ、自分で飲みたいくらいよ」 と続けるも、母堂に捧げる供物であり、腐る前に飲みたい! というのが本望です。 だから、墓前に供えたあとで、 「フタ…